Knowledge /健康的なスパークリングウォーターを提供|Aura Boraのマーケティング戦略
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Aura Boraについて
Aura Boraは Maddie Voge 氏と Paul Voge 氏によって2019年に設立された、スパークリングウォーターを販売するアメリカの企業です。
同社の飲料は、植物ベースのフルーツとハーブを原料に作られており、様々な品種で独自の製品を製造しています。
また、化学的に合成された香料や添加物を使用していないため、人工的な味がせず、健康志向のユーザーから好評を得ており、スパークリングウォーター市場で高い需要があります。

本記事では、以下の項目について紹介します。
- 商品の魅力
- マーケティング戦略
- 成功要因
- Aura Boraの今後
アメリカのリアリティ番組「Shark Tank」に出演
「Shark Tank」とは、起業家たちが”シャーク”と呼ばれる投資家の前で自分のビジネスアイデアをプレゼンし、資金調達を試みるという番組です。

2021年、Aura Boraはアメリカのリアリティ番組「Shark Tank」の第12シーズンに出演し、注目を集めました。
同社はハーブを使用したスパークリングウォーターの紹介と、そのユニークなフレーバーと市場でのポテンシャルをアピールします。
同番組内で投資家達は、Aura Boraのバジルベリーとラベンダーキューカンバーのフレーバー飲料における爽やかでユニークな味わいに感銘を受けました。
また、飲料だけでなく目を引く斬新なパッケージについても、高い評価を受けました。

プレゼンの結果、投資家であるロバート・ハージャベックからAura Boraの株式15%と引き換えに、20万ドルの投資を受けることに成功。この取引によって、Aura Boraは事業拡大と生産力向上に必要な資金を確保することができました。
取扱いのある小売店を拡大し市場リーチを拡大
「Shark Tank」 に出演後、全国的な流通を実現するために、さまざまな流通チャネルと戦略的に協力し、1,200以上の小売店で商品が販売されるようになりました。
取扱い店の数を増やしたことで、商品は広範囲で手に入りやすくなり、商品の認知度向上と新しい消費者の獲得にも成功します。
これらの取組みにより、競争が激しい飲料市場における会社の成長と拡大への道を切り開いたのです。
Aura Boraの商品の魅力

消費者の健康意識が高まるにつれ、健康を優先した飲料の需要は高まり続けています。そして多くの人が、満足のいく風味豊かな味わいを提供してくれる、甘い飲み物の代替品を探していました。
そのような状況の中、Aura Boraは添加物を使用せずとも甘くておいしいスパークリングウォーターの提供を開始。現在ではスパークリングウォーター分野におけるリーダーとしての地位を確立しています。
同社のスパークリングウォーターは、美味しいだけでなく健康上のメリットも多い点が特徴です。植物由来のハーブやフルーツなどの天然成分のみを使用し添加物を避けることで、オーガニックなライフスタイルや健康志向の消費者ニーズを捉えています。
同社が提供するスパークリングウォーターの特徴は以下の通りです。
■カロリーゼロ
ハーブエキスとフルーツフレーバーで自然に甘くされている飲料を提供しています。余分なカロリーを摂取することなく、爽やかでユニークな味覚を体験できます。
■人工甘味料不使用
人工甘味料が含まれていないため、健康被害を気にすることなく楽しめます。
■オーガニック原料
同社はオーガニックのハーブやフルーツ、植物の原料を責任を持って調達しています。オーガニック製品は化学的に合成された肥料や農薬は使用されておらず、太陽や水、土や生物の力を生かし生産されています。そのため、美味しいだけでなく環境にも優しい飲み物となっています。
健康的なライフスタイルが重視される昨今、Aura Boraはスパークリングウォーターを通じて、健康的で罪悪感なく楽しめる製品を提供しています。
Aura Boraのマーケティング戦略
本章では、Aura Boraのマーケティング戦略を4つ紹介します。
- デジタルサンプリング
- メールマーケティング
- 季節限定フレーバー
- シークレットメニュー
1.デジタルサンプリング
デジタルサンプリングとは、インターネットやデジタルプラットフォームを通じて、商品やサービスのサンプルを消費者に提供するマーケティング手法です。商品に対する感想を回答することを条件に、自宅にいる顧客にサンプルを提供します。
■Aura Boraが直面した課題
2019年11月に創立されたAura Boraは、新興飲料ブランドとして、市場での知名度と棚占有率の向上を目指していました。
しかし2020年3月、新型コロナウイルスの流行により、消費者の店舗訪問回数が減り、商品を目にしてもらえる機会が激減。これまで行っていた実店舗でのデモやイベントなどの販売戦略が通用しなくなってしまいました。
さらに、広範囲に流通しているペプシやコカ・コーラといった大手ブランドとの競争が激化している中、効果的に商品を試してもらう方法を模索していました。
■課題解決に向けた取組み
この課題に対処するため、同社は「Social Nature」というデジタルサンプリングプラットフォームを利用します。
Social Natureは、消費者が実際に店舗で製品を手に取り試せるコミュニティを持ち、Aura Boraに新しい顧客層へのリーチや製品レビューの収集、メールリストの拡大、そして貴重な消費者の洞察を得る機会を提供しました。
■成果
デジタルサンプリング戦略の結果、37%の消費者がリピート購入者となり、その80%が少なくとも月に1回は製品を購入していることが明らかになりました。
また、消費者はAura Boraをほかのスパークリングウォーターに代わる選択肢として選び、43%がAura Boraをほかの商品とともに追加購入していることも判明しました。
2.メールマーケティング
メールマーケティングとは、電子メールを利用し既存顧客や見込み客に直接商品を宣伝するマーケティング手法です。
■Aura Boraが直面した課題
Aura Boraは、メモリアルデーからレイバーデー(5月末~9月上旬)の期間に大部分の収益を上げていました。
*メモリアルデー:アメリカで5月の最後の月曜日に祝われる連邦祝日
*レイバーデー:アメリカで9月の第1月曜日の連邦祝日である「労働者の日」
しかし、オフシーズンには売上が下がる傾向にありました。また、2022年に米国経済の先行きが不透明となったことで、冬季に向けたWeb広告戦略のリスクが高まり、費用対効果が見込めないと判断しました。
このような状況の中、収益を安定させ、さらに増加させる新たな方法を模索する必要がありました。
■課題解決に向けた取組み
上記課題に対し、同社はメールマーケティングに注力することを選びました。
具体的には、「Klaviyo」というツールを利用してメール送信の頻度を増やし、既存顧客からの収益を最大化しようと試みました。月に15回のキャンペーンメールを送信し、ブランドを前面に出したコンテンツを2倍に増やしました。
配信された内容として、新しい限定フレーバーに関するキャンペーンや、ユニークな企画などが含まれていました。
■成果
ブランド中心のコンテンツを発信し続けた結果、開封率とユーザーごとの収益は驚くべきレベルで向上し、予測を大幅に上回りました。
また、Web広告戦略からメールマーケティング戦略にシフトしたことで、ビジネスの収益が増加し、会社の財務状態が改善されました。
さらに、メールマーケティングによって同社はオフシーズンでも安定した収益を確保できるようになり、同時に顧客との関係を深めることにも成功しました。
3.季節限定フレーバー

Aura Boraは “weird, unusual flavors”(変わった、珍しいフレーバー)の提供をコンセプトに市場での差別化を図っていましたが、継続的に顧客の関心を引くための新しい方法を探していました。
■市場での差別化を図るための取組み
この課題に取り組むため、2ヶ月ごとに限定フレーバーをリリースする戦略を採用します。この戦略は、既存顧客を引き付けるだけでなく、パートナーである小売業者との関係性を深める目的としても行われました。
創業者の1人であるPaul氏は、限定フレーバー戦略がブランドの独自性をさらに強め、顧客に「何が次に来るのか」という楽しみを与えられると考えました。
■成果
初めての限定フレーバーとして、「ジンジャーマイヤーレモン」「チャイクランベリー」「エルダーフラワーグレープフルーツ」がリリースされ、これらはECサイトでの売上の50%を占めるほどの成功を収めました。
限定フレーバーはすぐに売り切れることが多く、目新しさと顧客の期待を高めるための効果的な方法として確立されました。
また、限定フレーバーを積極的に試したいと思う顧客は商品に対する感度も高く、限定フレーバーへの意見やコメント、次はこんな商品が飲んでみたいなどの感想が多く寄せられるようになりました。
その結果、顧客からのフィードバックが元となった新フレーバー「エルダーフラワーグレープフルーツ」も発売されました。
さらに、成功したフレーバーは小売パートナーとの関係を深めるために再リリースされ、特定の小売業者に独占的に提供されたこともありました。
このような取り組みは、小売業者が競合他社よりも顧客に付加価値を提供できる手段となり、Aura Boraは小売チャネルでより一層存在感を高めることにも成功しました。
4.シークレットメニュー

■Aura Boraが直面した課題
スパークリングウォーター市場では、新しいフレーバーを定期的にリリースすることで顧客の関心を引きつける必要があります。
しかし従来の商品展開では、新商品発売のニュースが顧客に届かないリスクや、小売業者が新しい試みに消極的で店舗に商品を置いてくれないケースなどもありました。
■課題解決に向けた取組み
この課題に対し、同社は「シークレットメニュー」という戦略を採用します。
これは、メール購読者と特典会員にのみ公開されるパスワードで保護されたWebサイト上で、新しいフレーバーを限定的に提供するというものです。
この戦略は、ファーストフード業界で見られる「秘密のメニュー」の概念を応用したもので、消費者が積極的に情報を追いかけ、限定フレーバーの注文を促す手法です。
シークレットメニューでは、「バナナベルガモット」「グアバユーカリ」「マンゴーチリ」などの新フレーバーをリリースしました。
■成果
新フレーバーは発売後23時間以内に完売し、シークレットメニュー戦略は大成功を収めました。
売り切れるまでの時間は予想よりもかなり早く、メール購読者と特典会員の高いロイヤルティと、新製品に対し強い興味があることがわかりました。
Aura Boraの成功要因
Aura Boraは、ユニークなアイデアと様々なマーケティング手法を駆使し、スパークリングウォーター市場での成功を収めています。
同社の成功要因は、大きく以下の2つに分けられると考えられます。
1.健康志向なユーザーからの共感
Aura Boraは、人工甘味料を使用しないという革新的なアプローチにより、他のスパークリングウォーターブランドとは一線を画し、健康的ではない砂糖入り飲料の代替品を求めるユーザーの共感を得ることができました。
また、健康を重視する消費者にとって、天然成分のみを使用し不要な化学添加物を排除した商品は非常に魅力的です。
ナチュラルな原料は、体に優しく、環境に配慮した商品を求める現代のライフスタイルにもマッチしています。
同社は、オーガニック原料を使用したユニークなフレーバーと健康的なイメージで、健康志向を持つユーザーからの高い評価を受け、市場での成功を収めています。
2.多角的なマーケティング戦略と消費者・小売業者との関係性構築
同社の成功は、多角的なマーケティング戦略と、消費者・小売業者との強固な関係構築によるものです。
魅力的なコンテンツ配信やデジタルサンプリング、限定フレーバーなどの提供により、消費者に商品を体験してもらう機会を増やし、小売業者からの信頼を高めました。
これら複数の要因によって、同社は継続的に成長でき、市場での成功を収めたと言えます。
Aura Boraの今後
Aura Boraは市場での存在感をさらに高め、より多くの消費者にリーチする計画を立てています。
ブランドの主な戦略は以下の通りです。
1.拡大
流通網をより拡大するために、アメリカ全土の小売チェーンとの提携を積極的に進めています。アメリカ全土の有名店舗での取扱いを開始し、より多くの消費者が商品を入手できる環境を整え、販売数の増加を目指しています。
また、アメリカ全土の小売りチェーンと協力し市場を拡大することで、様々な顧客層にアプローチでき、消費者にユニークなハーブスパークリングウォーターを発見してもらう楽しみを提供できると考えています。
2.生産量の増加
全国で増え続ける消費者のニーズを満たすため、製造能力を強化し、人気のハーブスパークリングウォーターを安定して供給できる体制を整える計画を立てています。
3.サブスクリプションサービスの導入
同社は、直接顧客にアプローチすることの重要性を認識しています。そして、消費者へ直接商品を販売する取り組みを強化するために、サブスクリプションサービスの導入を目指しています。サービス導入により、よりシームレスでパーソナライズされた購買体験を提供できると考えています。
Aura Boraは、競争の激しいスパークリングウォーター市場において、これらの戦略的な取り組みを通じ、将来の成功と成長に向けて日々成長を続けています。
まとめ
Aura Boraが提供するハーブやフルーツを原料としたスパークリングウォーターは、健康を気にする消費者ニーズを的確に捉えています。
また、オーガニック素材を使用し化学添加物を避けることで、安全で健康的な飲料を提供しています。
独特のフレーバーと環境に優しいブランドイメージは、特に健康志向や自然派志向の強い層からの支持を多く集めています。
様々なプロモーションを通じてブランドの認知度を高め、顧客との繋がりをを深めている同社は、今後もますます加速していくでしょう。
<参考記事>
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